シングルスピードとは、その名の通り変速機の無い、固定ギアの自転車を指します。デザイン性が高く、かっこよく、おしゃれに街乗りするには最高の自転車です。故障も少なく、メンテも楽などの良い事も多い反面、坂道では変速できないのでしんどい、という短所も併せ持っています。
最近日本に登場しはじめた、シングルスピードのe-BIKEなら、シングルスピードの自転車が持っていた「坂道」「漕ぎだしの重さ」というデメリットから解放され、新たな次元で自転車を楽しめます。坂道などは電動モーターがサポートしてくれるので安心です。
海外では、ここ数年で、シングルスピードのe-BIKEが流行し、注目を浴びています。日本ではまだまだ、比較できるほどの機種は存在しませんが、それでも、新製品が発売されはじめ、市場が広がる予感があります。この記事ではシングルスピ―ドの良さを再認識するとともに、シングルスピ―ドのe-BIKEもご紹介します。
目次
1. そもそも、シングルスピードとは?
シングルスピード(シングルギア)とは、ギアの歯が一種類(シングル)しかついていない変速できない、自転車の総称になります。日本では、変速機つきの複数ギアの自転車が一般的で、シングルギアの自転車はあまり普及していません。自転車の型からみると、マウンテンバイク、ミニベロ、シティサイクルでも、シングルスピードタイプは存在します。しかし、やはりシングルスピードといえば、ロードタイプやクロスタイプがよく取り上げられます。ロードタイプやクロスタイプのシングルスピードは個性的であり、また、街乗りなどの一般的な使用にも適しているので、こちらを中心にシングルスピードの特徴を説明していきます。
2. シングルスピードが愛される6つの理由
まずはシングルスピードの良さを理解しましょう。何気なく、複数ギアがついている一般的な自転車を選びがちですが、シングルの良さをまず理解しましょう。あまり正確には理解されていない、代表的な6つのメリットをご説明します。
2.1 美しいデザイン
シングルスピードの一番の良さは、見た目のかっこよさ。すっきりしたそぎ落とした、美しさにあります。ミニマリストの良さ、自転車本来の美しさがあります。
シングルスピード購入動機で一番よく聞くのは、みための美しさです。シングルスピードを選ばれる方の多くは、少しくらい機能的には不便があっても、デザイン、美しさから選ばれます。
そのままシンプルなデザインの状態で乗りこなしたり、自分好みのペイントやデカールで個性を発揮した1品に仕上げてから乗られる方も多くいらっしゃいます。自分のテイストをだしやすいのが最大の特徴です。
2.2 ギア外れなし
ギア外れから解放される事は、街乗りでは大きなメリットです。変速しないから、ギアが外れることがほとんどないのです。日々の自転車生活では、パンクとギア外れが2大嫌な事になります。シングルスピードなら、その一つから確実に解放されます。外れたギアを戻す時の、手が汚れたり、その手が洗えない、なんて悲劇から解放されます。これが雨の日なら最悪です。
2.3 少ない故障
スポーツ自転車でよく酷使される部分は、変速関係の部品です。ワイヤーで力を加えて変速する変速機は負担も大きいです。また、自転車後方にある変速機は、思わず障害物にぶつけやすい(ぶつけられやすい)箇所でもあります。シングルスピードは変速関連のわずらわしい故障から解放されます。
2.4 楽なメンテナンス
とにかくメンテナンスが楽です。単純に考えても、ワイヤー、変速機、ギア、それらの総合的な微調整、がなくなります。変速機の調子が悪い時、調子の悪い原因を見つけられない事もしばしばありますよね。クリーニングだけで解決すればいいですが、そうでない時は一苦労です。メンテが楽で長持ちしてくれるシングルスピードは本当に助かります。
2.5 軽い車体
パーツが少ない分だけ軽くなります。軽くなれば、取り扱いも簡単になり、乗っても楽だし、安全でいいことが色々出てきます。
2.6 少ない出費
パーツが少ないので、その分安く作れます。だから、価格も比較的抑えられています。買うときだけでなく、いざ乗り始めてみると、修理も少ないので、維持費があまりかからない事に気づくと思います。本体価格だけでなく、トータルでみると更に経済的です。
3. デメリットは「坂道」と「漕ぎだし」
ギア比を変えられないシングルスピードの2大デメリットは簡単に想像がつきますね。「坂道」「漕ぎだし」です。
色々メリットもありますが、やはり、楽して、実用的に自転車に乗りたいというニーズが一般的だと思います。この2大デメリットにより、今までシングルスピードが普及しなかった。もしくは、シングルスピードを諦めてしまっていた方が多くいたと思われます。
シングルスピードのe-BIKEなら、この2大デメリットを解消できます。普通のシングルスピードならこの2大デメリットを抱えたまま頑張るしかないが、シングルスピードのe-BIKEなら(少し高くなるが)この2大デメリットはなくなります。
3.1 しんどい、のぼり坂
シングルスピードは、ギアがひとつしかないので、とにかく上り坂がきつい。坂道は、軽いギアに変更することなく、ひたすら脚力にたよるか、降りておすしかない。車では気づかないが、街中にも、坂はいっぱいあります。ちょっとした橋、角を曲がった後の坂、ギアが変更できないとふとももにきます。ところが電動アシストの力を借りると、普通の坂も軽々超えていきます。踏み込んだ力に合わせてモーターが作動するので、坂でもスイスイ進みます。
3.2 重い、漕ぎだし
シングルスピードは比較的重たいギア設定なので、坂でなくても、頻繁にあるStop&GOは苦手。GOの時、交差点が少し盛り上がっていたり、踏切でも意外と道が盛り上がっていたりと、漕ぎだしに思わず苦戦を強いられることもあります。ところが、電動アシストの力を借りると漕ぎだしから軽く、スーッと走り始めます。街中のStop&GOが全く気にならなくなります。
4. クロスバイクタイプのシングルスピードe-BIKEをおすすめしたい人
クロスバイクのシングルスピードe-BIKEは万能選手ですので、多くの方におすすめできます。その中でも、シングルスピードe-BIKEを開発し色々乗りこなした結果、特におすすめしたい乗り方がこちらです。
4.1 5~20km くらいの距離を通勤で使用する人
e-BIKEに慣れてくると片道20㎞くらいの通勤も苦になりません。20㎞くらいなら、1時間かからないですね。更に、どれだけアシストしてもらうかで、運動量も調整できるので、行きは汗をかかないように強いモードで、帰りはエクササイズ代わりにアシストを弱めにしたり、offにすることも可能です。
街中でよくある、Stop&Goや坂道もなんなくクリアーしていきます。ミニベロやママチャリのe-BIKEも通勤に適していますが3~5kmくらいが適切な移動範囲と思いますので、移動距離を考えてみてください。
4.2 100㎞くらいまでの週末ライドを楽しむ人
10Ahを超えるような大型バッテリーを搭載されているe-BIKEなら、週末のポタリングや簡単なロングライドを楽しむこともできます。普通の自転車なら、あまり考えなかったロングライドもe-BIKEなら身近な趣味になります。山や海、自然のなかでe-BIKEを楽しむと、リフレッシュでき、とても健康にいいですよ。季節を肌で感じ、車やバイクでは感じられない音やにおいを楽しみながら漕ぐe-BIKEは、週末のリフレッシュに最適です。
4.3 体力の衰えを感じ始めたけれども、まだまだ活動したい人。
e-BIKEはアスリートからよく、悪魔のささやきと言われます(笑)。自分の体力以上のスピード、距離が出るからです。体が衰えていくのはだれにでもあることです。体の衰えと共に、好奇心が減っていく事や、活動範囲が狭くなることのほうが良くない事だと考えています。体の衰えを電動アシストの力でカバーして、今まで通り、いや、今まで以上の活動で、心身ともに健康を維持する事はすごく正しい事だと思います。
5. おすすめのシングルスピード、e-BIKE Musashi Velo CS01
新興ブランドのMusashi Velo CS 01がデザイン、性能、革新性、価格とバランスが取れています。2022年春の段階で、シングルスピードを売りにしているe-BIKEがあまり存在していません。シングルスピードの良さとe-BIKEの良さをいち早く取り入れたこの1台をおすすめします。
5.1 変速いらずのシングルスピードが生み出す最高の乗り心地
「踏み出しがかるい!!」、乗って最初に驚かされるポイントだ。比較的重めのギアでのシングルギアなのに、踏み出しから全く重さを感じず、軽快そのもので驚かされる。
街中のStop&Go がすごく楽にる。信号待ち、歩行者に道を譲った後、車に邪魔されて、街中でのStop & Goは頻繁に行われる。踏み出す度に驚きがある。街中では、アシストモード5(最大パワー)など要らない、中間の3でも十分な軽い走りだしだ。
その次の驚きは、加速力。数回こぐと時速20㎞近くまで一気に加速している。その間も足の裏が軽い。自転車に乗っている時には、目いっぱい踏み込んでいたのに、あれは何だったのかと思う。当然ギアの変更で耳に残るガチャガチャ音などなく、耳に残るのは、軽いモーター音と街の音。快適な走行とは、疲れないなどという肉体的な負担だけでなく、街の音を感じるという別の次元から良さを感じるのがいいのかもしれないと思ってしまった。
坂道でも新たな驚きがある。色々な坂を試してみたが、座ったままでほぼ登りきることができるのには驚かされる。コツは最初に踏み込む事だ。トルクセンサーが、踏み込みの力に反応して、モーターを動かすので、最初の一歩が肝心。一度、踏み込むと、後はペダルも軽くなり、簡単に坂を上っていく。信号で止まった時に、原付バイクのライダーが、「これなに?本当に電動アシスト自転車?」と驚きまじりに聞かれたことはすでに何度かある。それくらい、坂道にも強い。シングルギアと電動アシストとのマッチングは最強だと思える。
5.2 電動アシスト自転車にみえない、シンプルな美しいフォルム
自転車は、性能だけでなく、見た目も大事だと思う。自転車がもつ本来のシンプルな美しさをe-BIKEでもできる限り再現していると感じられる。だから平日の通勤にも、休日のファッションにも、TPOを選ばないe-BIKEになっている。
2Ahの大容量バッテリーをダウンチューブに内蔵化することにより、性能は維持した上で、すっきりとしたデザインになっている。バッテリー容量を減らし、スリム化、軽量化する事は簡単だが、実用的でない。毎日の通勤にも使え、週末にはもっと長いライドを楽しむには、やはり、10Ah以上のバッテリーは搭載しているべきで、デザインと性能のバランスが取れていると思える。
更に、ミニマルデザインという一貫した考え方は、ハンドルまわりにも表れている。変速レバーをなくすことによって、通常なら5本もあるケーブルを、3本まで減らしている。できる限り小さなディスプレイモニターを採用している。これらのシンプルさは、単にハンドル周りをすっきりしただけでなく、運転に集中でき、安全運転という視点からも優れている。
一目見た瞬間のシンプルで美しい車体には、ミニマルデザインが底流にあり、美しさだけでなく安全運転にもつながっている。
5.3 安全のためのスペックも十分
e-BIKEはスピードがでるので、リムブレーキではなく、車やバイクなどでもよく使用されている、制動性の高いディスクブレーキが必須だと思う。
油圧式とメカニカルディスクブレーキ搭載のMusashi Velo CS01を両方乗り比べしてみたが、楽しい街乗りを中心に考えるなら、メカニカルディスクブレーキで納得。反応スピードの速い油圧式は競技スポーツには必須だが、街中では効きすぎ感があり、オーバースペックというか適切でないという感がある。特に、慣れていないライダーがギュッと握りしめて、急ブレーキをかけると、ブレーキがききすぎて危なさがでてくる。街中ででる自転車のスピードを考えるとメカニカルディスクが最適といえる。
ディスクブレーキだけでなく、フラットバーでも疲れにくいエルゴハンドルを採用。エルゴハンドルは10分乗ればその疲れにくさが実感できるはずです。前傾姿勢の体重を受けるハンドルグリップ部分は、手のひら全体でつかめるエルゴグリップが疲れを軽減してくれる。
これらのパーツと、運転に集中できる変速いらずのモノギア設計、停車しやすい軽量車体は、運転経験の少ないドライバーでも安心してe-BIKEに乗ることをサポートしている。
5.4 賛否の分かれ目は、バッテリー内蔵タイプの弱点である充電方法
ACアダプターを本体に直接差し込み充電するので、充電時には、屋内に自転車を持ち込むか、屋外で雨の当たらない駐輪場が必要となる。デザインやバッテリー盗難にあわない、防雨防塵に良いという利点もある反面、バッテリーを取り出して充電できないことがライフスタイルに合わないという人もいると思える。
シングルスピードのe-BIKEはどうですか? 「シングルスピード」+「e-BIKE」が今なら最高の選択といえると思います。デザインなどのシングルスピードの良さを維持しながら、デメリットであった坂道や漕ぎ始めの重さを克服した1品なら、通常の街乗りだけでなく、もっと楽しみが広がる乗り方もあります。これからの一台に是非どうぞ。
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